畜産業が環境に与える影響
畜産業では、水、土地、穀物などの資源を大量に消費します。
・水
家畜が飲む水だけでなく、えさとなる穀物を育てるためにも使われます。畜産業を含む農業は、全世界の水使用量の約7割を占めるといわれています。
牛肉1kg分を生産するには、水が約20600リットル必要です。一方、大豆1kg分を栽培するために必要な水は、約2500リットル。牛肉1kgを生産するには、大豆の8倍以上の水が必要です。
欧州の研究ではヴィーガン食に切り替えることで、水の使用量が35%〜55%少なくなると発表しており、畜産業が水問題に与える影響は大きいと考えられています。
参照:農林水産省−世界の水資源と農業用水を巡る課題の解決に向けて
参照:BBC NEWS JAPAN 良質な食事は地球のために、水節約で 欧州委調査
・土地
家畜を育てるには、牧草地・飼料となる穀物用の畑といった多くの土地が必要になります。2050年には世界の人口が97億人になると予測されており、2010年時に比べ1.7倍の食糧の確保が必要です。
人口増加に伴い肉の需要が高まれば、さらに多くの土地が畜産のために必要になります。土地を確保するために、森林伐採→野生動物の住処がなくなるといった問題に発展します。
参照:農林水産省−2050年における世界の食料需給見通し
・穀物
畜産業は、穀物も大量に消費しています。牛肉を1kg生産するには、とうもろこし換算で約11kgの穀物が必要です。世界で生産される穀物の3分の1が家畜に与えられる一方で、飢餓に苦しむ人々も約7億3500万人存在します。
家畜のえさとなる穀物を人間に供給できたとしたら、約40億人もの人々を養えるともいわれています。
参照:hunger free world 参照:西尾道徳の環境保全型農業レポート
・温室効果ガスの排出
国連食糧農業機関(FAO)によれば、世界の温室効果ガス排出量の31%が食システムに由来すると推定されています。畜産業がもたらす人為的に排出される温室効果ガス排出量は全体の14%を占めています。
牛のゲップから出るメタンは、二酸化炭素の約25倍の温室効果があるとされ、地球温暖化の原因のひとつです。
・水質汚染
畜産業における水質汚染も問題です。適切に処理されなかった家畜の排せつ物によって、川や海の水質汚染が発生しています。 これによって、川や海の生態系が影響を受けるだけでなく、生活用水にまで影響を及ぼすことが懸念されています。
参照:農林水産省ー畜産環境問題とは